SPIの確率と場合の数 ── 順列と組合せの切り分けを1つの問いで決める
この記事の内容は 2026-09-06 時点のものです。
確認できていない範囲:「確率」「場合の数」という分野名は、提供元であるリクルートマネジメントソリューションズ社の公開資料では確認できません。設問数・分野ごとの出題比率も公表されていません。この記事の手順は当サイトが整理したものであり、提供元が示した解法ではありません。他社の検査の記載は、出題内容が同一であることを示すために引用しているものではありません。
確率の設問で最初に決めるべきことは、公式のどれを使うかではない。並び順を区別するかどうかである。
ここが決まっていないまま計算に入ると、答えが選択肢のどれかには当たってしまう。順列で出した数も組合せで出した数も、それらしい値になるからである。だから間違えても気づけない。
この記事では、切り分けを1つの問いに固定し、そのうえで計算量を減らす手を示す。
目次
- 公表されている検査時間と道具の前提
- 切り分けの問いは1つでよい
- 手順3つ ── 区別を決める、分母を作る、分子を作る
- 「少なくとも」は反対側を数える
- 同じものを含む並べ方は割る
- 検算は1回だけ、範囲で行う
公表されている検査時間と道具の前提
リクルートマネジメントソリューションズ社の料金ページには、大卒採用向けの検査時間が記載されている。SPI3-Uはテストセンター・インハウスCBT・WEBテスティングで65分、ペーパーテスティングで110分、能力検査のみのGAT-Uはインハウスで35分、ペーパーで70分である(同社サイト・2026年9月6日確認)。
道具については形式で前提が異なり、テストセンターでの計算機の扱いは同社のFAQに記載がある(引用と出典は図表の読み取りは割合と実数のどちらを先に出すかで扱っている)。形式ごとの電卓の可否はWEBテストで電卓は使える?にまとめている。
一方、確率や場合の数に当たる設問がいくつ出るかは公表されていない。計算機が使えない前提でも通る手数に寄せておくのが、形式をまたいで効く構えである。
他社の記載も見ておく。ヒューマネージ社の判断推理力検査 i9 は検査時間30分、基準レベルは4年制大学卒業レベルで、「WEB実施が可能で、IRT(項目反応理論)に基づきランダムに出題されます。」と記載されている(同社サイト「知的能力検査 i9 / C3 / J3 / P3」ページ・同日確認)。短時間型の検査については新型に当たったときの計算問題に整理した。日本エス・エイチ・エル社の玉手箱Ⅲは所要時間合計49分、実施形態はWebである(同日確認)。どの提供元も、設問の分野名の一覧は公開していない。
切り分けの問いは1つでよい
順列(並べる)か組合せ(選ぶ)かを決める問いは、次の1つに固定する。
「2人を入れ替えたら、別の結果として数えるか」
- 数える → 順列。並び順を区別する。
- 数えない → 組合せ。並び順を区別しない。
設問文の語で覚えようとすると(「並べる」なら順列、「選ぶ」なら組合せ、など)例外に当たって崩れる。「代表と副代表を選ぶ」は選ぶという語だが、役職が違うので入れ替えれば別の結果であり、順列である。
語ではなく、入れ替えたときに別物になるかどうかで決める。この1問だけを毎回当てる。
手順3つ ── 区別を決める、分母を作る、分子を作る
手順1、上の問いを当てて、区別するかどうかを紙に書く。 「区別する」または「区別しない」と、2文字でよい。
手順2、分母(全体の場合の数)を先に作る。 確率は「当てはまる場合 ÷ 全部の場合」なので、全部の場合から作る。ここで手順1の判断を使う。
手順3、分子(当てはまる場合の数)を作る。 このとき分母と同じ区別の仕方をそろえる。分母は区別ありで数えたのに、分子は区別なしで数える ── これが確率で最も多い崩れ方である。
要点は手順2と手順3の順番を変えないことである。分子から作ると、分母を作るときに「さっきはどう数えたか」を思い出す必要が出る。分母を先に作れば、分子はその写しでよい。
「少なくとも」は反対側を数える
「少なくとも1つが当たりである確率」のような設問は、正面から数えると場合が増える。1個の場合、2個の場合、3個の場合……と足していくことになる。
反対側(全部はずれ)を数えて、1から引く。
たとえば当たり2本を含む10本のくじから3本引くとき、少なくとも1本が当たる確率は、まず「3本ともはずれ」を出す。はずれは8本なので、8本から3本選ぶ場合が 8×7×6 ÷ (3×2×1) = 56 通り、全体は 10×9×8 ÷ (3×2×1) = 120 通り。よって全部はずれは 56/120 = 7/15、求める確率は 1 − 7/15 = 8/15 である。
「少なくとも」を見たら反対側、と決めておくと、その場で場合分けを設計しなくて済む。同じ発想は集合の設問でも使う(SPIの集合はベン図より表が速い)。
同じものを含む並べ方は割る
「AAABBC の6文字を並べる」のように同じものが混ざる設問では、全部が違うものとして並べた数を出してから、同じものどうしの並べ替えの数で割る。
6文字すべてが違うなら 720 通り。Aが3つあるので 3×2×1 = 6 で割り、Bが2つあるので 2 で割る。720 ÷ 6 ÷ 2 = 60 通りである。
道順の設問(右に3回、上に2回進む経路の数)も同じ形に落ちる。右右右上上 の並べ方と見れば、5文字を並べて 120 通り、右3つで6、上2つで2、120 ÷ 6 ÷ 2 = 10 通りとなる。
見た目が違う設問が同じ計算に落ちるという点で、この帯は覚える量が少なくて済む。分野名で覚えるより、この落とし方を覚えるほうが引き出しは軽い。
検算は1回だけ、範囲で行う
確率の検算は、もう一度解き直すのではなく範囲で見る。
- 確率は必ず0以上1以下である。1を超えていたら分子と分母が入れ替わっている。
- 「少なくとも1つ」型の答えが極端に小さいなら、反対側を引き忘れている。
- 場合の数が全体の場合の数を超えていたら、分子で区別の仕方をそろえ損ねている。
この3つを見るだけで、大きな崩れはほぼ拾える。解き直しは時間を倍使ううえに、同じ思い込みで同じ答えに着くので、限られた時間の中では割に合わない。
まぐれで合ったのか手順で解けたのかを分けて記録する考え方は、解き終わった後の「振り返り」で扱っている。
確率と場合の数は、公式の数が多く見えて、実際に決めているのは並び順を区別するかどうかという一点である。その一点を1つの問いで固定し、分母から作り、「少なくとも」は反対側を引く。ここまで決めておけば、設問の見た目が変わっても手は止まらない。
SPIの科目ごとの手順はSPIの設問パターンと手順、数を速く処理する側の話はSPI 数的推論にまとめている。
この記事で示した手順と、同じ型の設問をまとめて確認できるようにしたものが「就活定石ノート Webテスト編」(税込3,980円・買い切り)である。玉手箱・SPI・TG-WEBの3形式に絞り、答えだけでなく「なぜそう解くか」の手順を添えている。