SPIの仕事算 ── 全体を1と置いて、1日あたりの量に直す
この記事の内容は 2026-09-05 時点のものです。
確認できていない範囲:「仕事算」という分野名は提供元であるリクルートマネジメントソリューションズ社の公開資料では確認できません。設問数・分野ごとの出題比率・難易度の決まり方も公表されていません。この記事の手順は当サイトが整理したものであり、提供元が示した解法ではありません。他社の検査の記載は、出題内容が同一であることを示すために引用しているものではありません。
仕事算で手が止まるのは、「何日かかるか」を最後まで日数のまま考えようとするからである。
Aが6日、Bが12日、二人でやったら何日 ── ここで6と12を足したり引いたり平均したりしたくなるが、日数どうしはそのまま足せない。足せるのは、1日あたりにどれだけ進むかのほうである。
この記事では、日数を量に直してから足すという1本の型を、設問の見た目が変わっても崩れない形で示す。
目次
公表されている検査時間の範囲
まず、公表されている枠を確認しておく。
リクルートマネジメントソリューションズ社の料金ページには、大卒採用向けの検査時間が記載されている。性格・基礎能力・構造的把握力を含む SPI3-US はテストセンターで85分、英語能力と構造的把握力を両方含む SPI3-USE は105分である(同社サイト・2026年9月5日確認)。
一方で、この時間のうち非言語にどれだけ割かれるか、そのうち仕事算に当たる設問がいくつ出るかは公表されていない。したがって「仕事算に何分使えるか」は事前には作れない。
参考までに、他社の検査の記載も見ておく。ヒューマネージ社の事務処理能力検査 J3 は検査時間30分で、分野は「言語・計算・論理の3つの分野」と記載されている(同社サイト・同日確認)。日本エス・エイチ・エル社の玉手箱Ⅲでは、測定項目が「言語・計数・英語・パーソナリティ(OPQ)」、所要時間合計が49分と記載され、計数の科目名は「計数理解テスト(四則逆算)」である(同社サイト・同日確認)。
3社とも、計算を扱う帯を持っているが、設問の分野名を細かく公開している社はない。就職活動の場で使われている「仕事算」という呼び名は、受検者側・教材側の呼び方である。
日数は足せない、量は足せる
仕事算の核心は一行で言える ── 日数は足せないが、量は足せる。
Aが1人で6日かかる仕事があるとする。この「6」は日数であって、量ではない。Aの働きの量を表しているのは、1日あたり全体の6分の1という値のほうである。
Bが12日かかるなら、Bは1日あたり12分の1。二人でやれば1日あたり 1/6 + 1/12 = 3/12 = 1/4 進む。全体を終えるには4日。
日数の6と12は足せないが、量の1/6と1/12は足せる。仕事算のすべての設問は、この一点に還元される。
手順3つ ── 全体を1、単位量に直す、足す
作業としては次の3手順に固定する。
手順1、仕事の全体量を1と置く。 「壁を塗る」「水そうを満たす」「原稿を仕上げる」 ── 中身が何であれ全体を1にする。設問文を読む前に紙に「全体=1」と書いてしまってよい。
手順2、登場人物ごとに単位時間あたりの量を出す。 「Aは6日で終える」なら、Aの1日あたりは 1/6。分母に日数が来る、と覚えるより、「1を日数で割る」と手順で覚えるほうが崩れにくい。
手順3、設問の状況どおりに量を足し引きし、最後に1を割る。 全員で働くなら足す。誰かが抜けるなら引く。求めるのが日数なら、最後に「1 ÷ 合計の量」で戻す。
要点は、手順3の最後まで日数に戻らないことである。途中で日数に戻すと、また足せない値を扱うことになる。
分数を避けたいときは最小公倍数を使う
分数の計算が重いと感じる場合、全体を1ではなく日数の最小公倍数と置く手もある。
先の例なら、6と12の最小公倍数は12。全体を12と置くと、Aの1日あたりは2、Bは1。二人で3。12 ÷ 3 = 4日。分数が一度も出てこない。
計算機が使えない方式では、この置き方のほうが速いことが多い。SPIのテストセンターでは検査中に計算機が使えないとされているため、筆算の負荷を減らす意味がある。
どちらの置き方でも答えは同じである。練習の段階でどちらかに決めておき、本番では迷わないのが要点で、その場でどちらが速いか比べるのは時間の無駄になる。
同じ型が効く3つの設問
この型は、仕事算という名前で呼ばれる設問だけに効くのではない。
1、水そう算。 「A管で20分、B管で30分で満水になる水そう」も構造は同じ。全体を1と置き、1分あたりの量を出す。排水管があるなら引く。
2、進む・戻るの設問。 「上りに3時間、下りに2時間」も、距離を1と置けば単位時間あたりの進み方の話になる。
3、複数人で分担する設問。 「3人で5日かかる仕事を、2人でやると何日か」も、のべ作業量(3人 × 5日 = 15人日)で見れば同じ枠に入る。
見た目が違っても、「全体を1と置いて単位量に直す」で入れる設問はこれだけ広い。分野名で覚えるのではなく、この入り口を覚えるほうが引き出しは少なくて済む。
途中から人が増える設問の処理
やや重い型として、「Aが3日働いたあとBが加わった」のように途中で条件が変わる設問がある。
処理は次のとおりである。
- Aだけの期間に進んだ量を出す(1日あたりの量 × 日数)
- 全体1からその量を引き、残りの量を出す
- 残りを、変わったあとの合計の量で割る
要点は、期間を区切って、区切りごとに量を出すことである。全部をひとつの式にまとめようとすると、式が長くなって桁を見失う。区切って書けば、それぞれは掛け算1回と割り算1回で終わる。
この「区切って書く」やり方は、条件が複数並ぶ設問全般に効く。条件を頭の中に置かず紙の上に降ろす点で、推論の作業図と同じ発想である(SPIの推論を作業図に落とす手順)。
仕事算は、覚えるべき公式が実質1つしかない分野である ── 1を日数で割る。それだけで、水そうも往復も分担も同じ手順に乗る。日数のまま考えるのをやめる、というたった1つの切り替えが、この帯全体を軽くする。
SPIの科目ごとにどの手順を当てるかはSPIの設問パターンと手順、非言語をどこから埋めるかはSPI 非言語の「苦手」を潰す定石にまとめている。
この記事で示した手順と、同じ型の設問をまとめて確認できるようにしたものが「就活定石ノート Webテスト編」(税込3,980円・買い切り)である。玉手箱・SPI・TG-WEBの3形式に絞り、答えだけでなく「なぜそう解くか」の手順を添えている。