SPIの速さと旅人算 ── 図を先に描き、単位をそろえてから式を立てる
この記事の内容は 2026-09-06 時点のものです。
確認できていない範囲:「旅人算」という分野名は、提供元であるリクルートマネジメントソリューションズ社の公開資料では確認できません。設問数・分野ごとの出題比率・難易度の決まり方も公表されていません。この記事の手順は当サイトが整理したものであり、提供元が示した解法ではありません。他社の検査の記載は、出題内容が同一であることを示すために引用しているものではありません。
速さの設問で手が止まる原因は、たいてい公式ではない。時間の単位と距離の単位がそろっていないまま式を立てていることである。
分速80mと時速4.8kmは同じ速さだが、片方をmのまま、片方をkmのまま式に入れれば答えは合わない。しかも計算そのものは通ってしまうので、選択肢に近い数が出て、間違いに気づけない。
この記事では、図を引いて単位をそろえるところまでを固定の作業にし、そのあとは1つの式で処理する型を示す。
目次
- 公表されている検査時間の範囲
- 速さの設問は3つの量しか出てこない
- 手順3つ ── 図を引く、単位を決める、式を1本
- 出会いと追いつきは同じ式で処理する
- 単位換算は2つ覚えれば足りる
- 往復・平均の速さで落とさないために
公表されている検査時間の範囲
まず、公表されている枠を確認しておく。
リクルートマネジメントソリューションズ社の料金ページには、大卒採用向けの検査時間が方式ごとに記載されている。SPI3-Uはテストセンター・インハウスCBT・WEBテスティングで65分、ペーパーテスティングで110分である。能力検査のみのGAT-Uはインハウスで35分、ペーパーで70分、英語能力検査のENGはペーパーで30分と記載されている(同社サイト・2026年9月6日確認)。
この時間のうち非言語にどれだけ割かれるか、そのうち速さを扱う設問がいくつ出るかは公表されていない。したがって「速さに何分使えるか」は事前には作れない。
参考までに他社の記載も見ておく。ヒューマネージ社の考察力検査 C3 は、言語・数理に関する潜在的能力を測定し、検査時間30分(別に60分の版もある)、回答方式はマークシート方式と記載されている(同社サイト「知的能力検査 i9 / C3 / J3 / P3」ページ・同日確認)。日本エス・エイチ・エル社のGABは所要時間80-90分、実施形態は紙・Web・テストセンター方式である(同日確認)。
3社とも計算を扱う帯を持っているが、設問の分野名を細かく公開している社はない。「旅人算」は受検者側・教材側の呼び名である。
速さの設問は3つの量しか出てこない
速さの設問に出てくる量は、距離・速さ・時間の3つだけである。関係も1本しかない。
距離 = 速さ × 時間
割り算の2本(速さ=距離÷時間、時間=距離÷速さ)は、この1本を移項しただけである。3本覚えるのではなく、1本だけ覚えて移項するほうが思い出す手間がない。
設問で問われるのは、この3つのうちどれか1つである。だから作業は「他の2つを埋めて、残りを出す」に還元される。埋まらない量があるなら、そこが未知数になる。
手順3つ ── 図を引く、単位を決める、式を1本
手順1、直線を1本引く。 出発点と到着点を端に置き、登場人物を矢印で書き込む。同じ向きに進むのか、向かい合って進むのかを、この時点で目に見える形にする。頭の中で向きを保持しない。
手順2、単位を一つに決めて、すべての数を書き換える。 分と時間が混ざっていたら分に寄せる。mとkmが混ざっていたらmに寄せる。設問文の単位ではなく、選択肢の単位に合わせるのが実務的である。最後に戻す手間が消える。
手順3、距離=速さ×時間の式を1本立て、未知数を1つだけにする。 未知数が2つ残ったなら、条件を読み落としている。図に戻って書き足す。
この3手順のうち、飛ばされやすいのは手順1である。図を引かずに式から入ると、出会いなのか追いつきなのかを取り違える。条件を紙の上に降ろす発想は、推論を作業図に落とすときと同じである(SPIの推論を作業図に落とす手順)。
出会いと追いつきは同じ式で処理する
2人が動く設問は、2種類に見えて1種類である。
向かい合って進む(出会い):2人が縮める距離は、1つの時間あたり「速さの和」だけ縮む。 同じ向きに進む(追いつき):縮める距離は、1つの時間あたり「速さの差」だけ縮む。
どちらも「縮めるべき距離 ÷ 縮まる速さ = かかる時間」で処理できる。違うのは和を取るか差を取るかだけである。
たとえば2人が1,200m離れていて、分速70mと分速50mで向かい合って進むなら、縮まる速さは120m/分、1,200 ÷ 120 = 10分。同じ向きに進んで後ろの人が追いつくなら、縮まる速さは20m/分、1,200 ÷ 20 = 60分。
図の矢印が向かい合っていれば和、同じ向きなら差。手順1で引いた図が、そのまま和か差かの判定に使える。図を引く意味はここにある。
単位換算は2つ覚えれば足りる
換算でつまずかないために覚えておく変換は2つでよい。
- 時速から分速へ:60で割る(時速4.8km = 分速0.08km = 分速80m)
- kmからmへ:1,000を掛ける
秒速が出てくる設問では、分速をさらに60で割る。掛ける数・割る数はどちらも60と1,000しか出てこないので、換算表を覚える必要はない。
換算の向きを間違えないためには、単位を紙に先に書いて、数字を後から入れる書き方が効く(計数で桁を間違えないメモの書き方)。
往復・平均の速さで落とさないために
この帯で最も落としやすいのが、往復の平均の速さである。
行きが時速40km、帰りが時速60kmのとき、平均は時速50kmにならない。速さは時間あたりの量であり、時間の長さが違う2つの速さは単純に平均できないからである。
正しくは、全体の距離を全体の時間で割る。片道を120kmと置くと、行きは3時間、帰りは2時間、往復240kmを5時間で走ったことになるので、平均は時速48kmである。
片道の距離は自由に置いてよい。2つの速さの最小公倍数(この例なら120)を置くと、割り切れて計算が軽くなる。これは仕事算で全体を最小公倍数に置くのと同じ手である(SPIの仕事算)。
速さの設問は、覚える式が1本しかない分野である。それでも落とすのは、式に入る前の準備(図と単位)を省いているからである。直線を1本引き、単位を選択肢に合わせる。この2つを作業として固定すれば、あとは移項だけで終わる。
SPIの科目ごとにどの手順を当てるかはSPIの設問パターンと手順、非言語をどこから埋めるかはSPI 非言語の「苦手」を潰す定石にまとめている。
この記事で示した手順と、同じ型の設問をまとめて確認できるようにしたものが「就活定石ノート Webテスト編」(税込3,980円・買い切り)である。玉手箱・SPI・TG-WEBの3形式に絞り、答えだけでなく「なぜそう解くか」の手順を添えている。