SPIの推論を作業図に落とす手順 ── 順序型と対応型を書き方から固定する
この記事の内容は 2026-09-04 時点のものです。
確認できていない範囲:SPIの出題内容そのもの(設問数・分野ごとの出題比率・難易度の決まり方)は提供元が公表していません。この記事に出てくる図の引き方は当サイトが整理した手順であり、提供元が示した解法ではありません。また、受検方式によってメモ用紙の扱いが異なるため、実際の持ち込み条件は必ず受検案内で確認してください。
SPIの非言語で推論が重く感じるのは、問題が難しいからではなく、条件を頭の中だけで処理しようとするからである。条件が3つを超えたあたりから、前に読んだ条件が抜け落ちて、読み直しが始まる。
推論の対策は、考え方を鍛えることではない。条件を書き写す先の図を、型ごとに先に決めておくことである。この記事では、出題の中心である順序型と対応型について、図の引き方を手順として示す。
目次
- メモ用紙と計算機について公表されていること
- 図を引くのが対策になる理由
- 順序型 ── 横一列を引いて両端から詰める
- 対応型 ── 縦横の表を引いて消去法を回す
- 図に落とす前の30秒でやること
- 図が引けても解けないときの原因
- 練習で残す記録
メモ用紙と計算機について公表されていること
図を引く手順を前提にする以上、本番で書けるのかを先に確認しておく必要がある。
SPIの提供元であるリクルートマネジメントソリューションズは、テストセンターのよくある質問ページで次のように記載している(同社サイト・2026年9月4日確認)。
- 検査中に計算機は使用できない。
- リアル会場での受検では、筆記用具とメモ用紙は会場で用意され、私物は利用できない。
- オンライン会場では、筆記用具とメモ用紙は自分で用意し、監督者がチェックのうえ条件を満たすもののみ持ち込める。
- 当日の持ち物として、メモ用紙はA4サイズの白紙と記載されている。
また同社の料金ページには、大卒採用向けの SPI3-U の検査時間が、テストセンター・インハウスCBT・WEBテスティングで65分、ペーパーテスティングで110分と記載されている(同社サイト・2026年9月4日確認)。
要点は2つある。計算機は使えないこと、そして書く場所は用意されていることである。手で書く前提の手順を練習しておくのは、この2点と整合する。方式ごとの違いはSPIのWEBテスティングとテストセンターの差で整理している。
図を引くのが対策になる理由
推論の設問で求められているのは計算ではなく、条件を全部同時に満たす配置を絞り込む作業である。ところが、条件が5つある問題を頭だけで処理しようとすると、4つ目を検討している間に1つ目の内容が薄れ、確認のために設問へ戻る。この往復が推論の時間を食う正体だ。
図に書き出せば、条件は消えない。図は記憶の代わりであり、思考の補助ではない。だから、うまく考えられない人ほど図の効果が大きい。
順序型 ── 横一列を引いて両端から詰める
「AはBより先に着いた」「CはDの直後だった」のように、並び順を扱う条件が出たら順序型である。順位・時刻の前後・高さや速さの比較は、すべてこの型に入る。
引く図は一つだけ ── 横一列のマス目である。
手順1、人数(または項目数)と同じ数のマスを横に引く。 左端が何を意味するか(1位なのか最下位なのか)を、図の左上に1語で書いておく。ここを書かずに進めると、後半で向きを取り違える。
手順2、位置が確定している条件から先に埋める。 「Aは3番目」のように絶対位置を与える条件があれば、まずそれをマスに入れる。
手順3、相対条件を矢印で書き足す。 「AはBより先」は、マスの下に A → B と書く。ここで絶対位置を勝手に決めない。「AはBより先」という条件だけでは、AとBの間が何マス空くかは決まらない。この段階で仮置きすると、後から矛盾に気づけない。
手順4、隣接条件から塊を作る。 「CはDの直後」のように間が空かない条件は、CとDをつなげた1つの塊として扱う。塊は動かせるが、内部の順番は変わらない ── 2マス分の幅を持つ「1つの駒」として扱う。
手順5、塊と矢印を、マスの数に収まるように配置する。 ここで初めて絶対位置を決める。候補が複数残る場合は並べて書き出し、設問が「確実に言えること」を問うているなら、すべての候補で共通して成り立つものだけを選ぶ。
順序型で最も多い誤りは、手順3で仮置きしたまま結論まで走ることである。相対条件は相対のまま持ち、最後の手順5で初めて確定させる。
対応型 ── 縦横の表を引いて消去法を回す
「Pは赤を選んだ」「Qは赤か青のどちらかだ」のように、2つの集合の要素を結びつける条件が出たら対応型である。色・出身地・職業・スポーツなど、ラベルが何であっても図は同じになる。
引く図は縦軸と横軸に2つの集合を並べた表で、マスには○と×だけを入れる。
手順1、表を引く。 縦に人(または主体)、横に属性を並べる。集合が3つある問題(人×色×日付など)では、表を2枚引いて別々に処理する。1枚に押し込もうとすると崩れる。
手順2、確定条件を○で入れる。 「Pは赤」なら P×赤 のマスに○を入れる。
手順3、○を入れたら、その行と列の残りをすべて×で埋める。 これが対応型の核心である。一対一の対応であれば、Pが赤なら P は他の色ではなく、赤は他の人ではない。この連鎖を毎回機械的に実行する。○を入れた直後に×を埋めるという順番を癖にしておくと、埋め忘れが消える。
手順4、否定条件を×で入れる。 「QはAではない」のような条件は、そのまま×として入る。否定条件は情報量が少なく見えるが、連鎖すると強く効く。
手順5、行または列で×が1つを残して埋まったら、残りが○になる。 ここまで来ると、推論というより塗り絵に近い作業になる。
対応型で崩れる原因はほぼ一つで、表を引かずに文章のまま条件を追うことである。推論の型は順序・対応のほかに、嘘つき・位置・グループ分けがある。5つの型の全体像はSPI推論の頻出形を5つの型に分類するで扱っている。
図に落とす前の30秒でやること
型を見抜くのが、図を引くより先に来る。判別の材料は条件の言葉にある。
| 条件に出てくる言葉 | 型 | 引く図 |
|---|---|---|
| 先/後/何番目/直前・直後 | 順序 | 横一列のマス |
| 選ぶ/担当する/~である(属性の割り当て) | 対応 | 縦横の表 |
| 嘘/本当/正直 | 嘘つき | 発言の参照を矢印で |
| 隣/向かい/東西南北 | 位置 | 円または平面のマス |
| グループ/チーム/分ける | グループ分け | 集合の囲い |
設問文より先に条件の文だけを読んで型を確定させる。型が決まれば図が決まり、図が決まれば手が動き出す。
図が引けても解けないときの原因
図は引けているのに答えが出ない場合、原因は次のどれかに絞られる。
原因1、条件を1つ書き写し忘れている。 条件の数を先に数えて図の脇に書いておき、書き写すたびに消していくと防げる。
原因2、設問が「確実に言える」を問うているのに、1つの候補だけで答えている。 配置の候補が複数残っている場合、そのうち1つで成り立つだけでは「確実に言える」にならない。
原因3、条件にない前提を足している。 「AはBより先」という条件から「AとBは隣接している」と読んでしまう類である。書き写した図だけを見て判断すれば起きない。
練習で残す記録
推論の練習で残すべきは、正誤ではなく型と詰まった位置である。1問ごとに「どの型だったか」「どの手順で止まったか」を記録する。型を見抜けずに止まったのか、条件の書き写しで漏れたのか、絞り込みで止まったのか ── この3つは対処が全く違う。
同じ型で繰り返し詰まっているなら、その型の図の引き方だけを練習すればよい。分野全体をやり直す必要はない。非言語のどこから埋めるかはSPI非言語が苦手なときの克服順で扱っている。
推論は、頭の中で解く分野ではなく、手で書いて絞り込む分野である。型ごとに図を先に決めておけば、初見の条件でも書き始めるまでの迷いが消える。
SPIの科目ごとに、どのパターンにどの手順を当てるかはSPIの設問パターンと手順にまとめている。
この記事で示した手順をまとめて確認できるようにしたものが「就活定石ノート Webテスト編」(税込3,980円・買い切り)である。玉手箱・SPI・TG-WEBの3形式に絞り、答えだけでなく手順を添えている。